遺言書は必要なのか?
遺言書を作成する際の相談として「これを残すことで、争いが発生しないだろうか?」、「不公平ではないだろうか?」などとお悩みの方がおられます。
まず、大前提としてご自身の財産をどのように処分されるかは自由です。むしろ、何もせず責任をそのまま遺族へ託す方が紛争が発生します。何か物を手に入れるということは、同時にその処分をどうするかも考えなくてはいけません。
特に多いのは不動産の共有名義です。特定の者に名義変更するよりも不公平がなく平等だと考える方が多いですが、全く逆の考え方で、共有名義の不動産は高い確率で「空き家」となります。処分するにしても共有者全員の印鑑を揃えるのが難しく、近くに住んでいなければ管理もされません。管理されない家は後に痛み、場合によっては屋根や壁が崩れて他人に危害を及ぼす可能性があります。そうなれば被害者から損害賠償責任を問われかねません。
遺言書は、財産を所有する者の最終意思表示であると共に、遺族を不要な争いから予防するための最善の方法であると私は考えます。
未来へ残す財産が負の遺産とならないよう、今一度考えてみてはどうでしょうか。